CL Column
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上野 隆の「やっぱりフィルムが好き」

第9話「ベタ焼き体験のすすめ」

ベタ焼きの中でも6×6のベタ焼きが一番好きだ。
十分鑑賞に堪える大きさなので、そのままアル
バムに貼ってもお洒落だと思う。
前回、カラーネガはプリントして初めて発色するので、
ミニラボの同時プリントで自動補正をかけてしまうと
フィルムの個性や撮影者の意図が薄まるという話をしました。
今回はその対策として最も確実な方法である「ベタ焼き」について
お話ししましょう。

ベタ焼きとは通常六切~四切の印画紙にネガを密着焼きしたもので、
モノクロフィルムを愛用している人には今でも当たり前の方法です。
ただ、現在カラーネガでこの仕上げを頼んでいるのはプロ写真家と
一部のハイアマチュアくらいではないでしょうか?
その最大の理由は価格が高いことと納期が長いことでしょう。
それでもカラーネガを使うなら最善の仕上げ方だと
個人的には思います。特にブローニーフィルムを
使っている人には絶対おすすめです。

ベタ焼きは全てのコマを一度に焼き付けます。
よって各コマの露出や色を補正したりはできません。
その結果、プラス補正したコマは露出オーバーに、
フィルターで色補正したコマはちゃんと
補正された色で仕上がってきます。
前回お話しした自動補正は機能しないわけです。
使い方は、簡単に言えばライトボックスのいらない
リバーサルフィルムみたいなものです。
ベタ焼きで露出や色や構図を確認し、
ルーペでピントをチェックしながら気に入ったコマだけを
引き伸ばす。失敗作をプリントする必要がないので
無駄な写真が増えないこともメリットですね。
四切プリントファイルにベタ焼きとネガを重ねて入れておけば、
焼き増しする際にも必要なネガがすぐに探せます。
また、ベタ焼きをテストプリントとして活用することもできます。
例えば、ベタ焼きの印画紙を本番で使う面種(マットやクリスタル等)と統一しておき、仕上がりイメージの参考にするとか、
トリミング見本や色見本として使うなど・・・。
35㎜だとさすがにちょっと分かりにくいですが、
ブローニーなら十分実用になります。

ラボでベタ焼きを見ながらプリンターマンと
仕上げについて議論している写真家を見ると
「プロっぽくてカッコいいなぁ」と思うことがあります。
でも、なぜかパソコンでフォトショップを操作している
写真家を見ても同じ様にカッコいいとは思わないです。
もちろんこれは個人的な感想ですけど。
コダックが手焼き用印画紙の生産中止を発表するなど
感光材を取り巻く環境はますます悪化しており、
正直この先いつまでベタ焼きが注文できるのか分かりません。
ただ、やっぱり私は便利さやコストを最優先してパソコンを相手にするより、
面倒なベタ焼きと職人気質のプリンターマンを
相手にしながらできるだけ長く
「カッコいい写真愛好家」でいたいものだ、と思っています。

上野 隆
全国の写真教室や撮影会の講師として活動中。
写真撮影の技術ではなく、写真の楽しさをテーマにし
た授業内容が大好評。写真展や写真関連イベントのプ
ロデューサーとしても定評がある。
フィルム写真のアナリストとして、新聞、雑誌、各種
写真イベントへの登場多数。写真専門誌への寄稿多数。
フォトマスター検定「エキスパート」取得。
英国王立写真協会会員。
上野 隆氏が主宰する写真教室はこちら。